研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[交流磁界(50 Hz、0.5 mT)の短期および長期のばく露はラットの脳下垂体ACTH細胞に影響する] med./bio.

Short- and long-term exposure to alternating magnetic field (50 Hz, 0.5 mT) affects rat pituitary ACTH cells: stereological study

掲載誌: Environ Toxicol 2016; 31 (4): 461-468

この研究は、超低周波磁界(ELF-MF:50 Hz、0.5 mT)のばく露が成獣ラットの脳下垂体副腎皮質刺激ホルモン分泌細胞(ACTH細胞)に影響するか否かを、短期実験および長期実験の2通りで調べた。短期実験は、3月齢ラットに1日間または7日間のばく露、長期実験は、受胎から3月齢に達するまでばく露を継続した。ばく露終了後にACTH細胞免疫標識して立体解析学的に評価した。その結果、1日ばく露では、ACTH細胞の総数と体積、核の体積、脳下垂体の体積が低下した;7日ばく露では、ACTH細胞の体積のみが低下した;生涯ばく露では、ACTH細胞の体積、脳下垂体の体積が低下した、と報告している。

研究目的(著者による)

ラットの脳下垂体および副腎皮質刺激ホルモンACTH)産生細胞に対する50 Hz磁界への急性(1+7日間)または慢性(最大3ヶ月)ばく露の影響を調べること。

詳細情報

副腎皮質刺激ホルモンは、多様な形態のストレス(可能性のあるストレッサは、仕事、負傷、疾病、手術、情動、抑うつ、身体的および心理的ストレス)の場合に分泌されるため、ストレスホルモンと見なされる。
ラットは4群に分けられた:1) 磁界への1日間のばく露 (n=6-8)、2) 7日間のばく露 (n=6-8)、 3) 3月齢になるまでばく露 (n=6-8)、4) 擬似ばく露 (n=?)。実験群1) および2)では、3月齢ラットばく露した。実験群3)では、ばく露親世代がつがいになった時から開始し、ラットはその受精の時からのばく露された。擬似ばく露は、それぞれのばく露群について別個に行われたが、結果は同一なので、それらは一つの擬似ばく露群と見なされた(EMF-Portalによる注記:擬似ばく露群のサイズは不明)。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 1 day
ばく露2: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 7 days
ばく露3: 50 Hz
ばく露時間: continuous for up to 3 months of age

General information

geomagnetic field in the experimental area was measured and within the normal range

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 1 day
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • electromagnet
ばく露装置の詳細 an electromagnet with a regular laminated transformer core and pole diameter of 9.5 cm generated a relatively homogenous field; a cage with 4-5 animals, respectively, was placed on each side of the electromagnet at a distance of 20 cm from the center of each cage to the magnetic poles; temperature was maintained at 23 ± 2°C and relative humidity at 60-70%
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 0.5 mT mean - - -

ばく露2

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 7 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 0.5 mT mean - - -

ばく露3

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for up to 3 months of age
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 0.5 mT mean - - -

Reference articles

  • Raus S et al. (2012): [超低周波磁界は全脳虚血を呈するスナネズミの運動行動に変化を生じる]

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

1日間の磁界ばく露したラット(実験群1)では、擬似ばく露群に比べ、脳下垂体の体積および副腎皮質刺激ホルモンACTH)産生細胞およびその細胞核の総数と体積が有意に減少したが、7日間ばく露したラット(実験群2)では、ACTH産生細胞の体積のみが有意に減少した。

3月齢までばく露したラット(実験群3)では、擬似ばく露群に比べ、脳下垂体およびACTH産生細胞の体積が有意に減少した。

著者らは、ラットの50Hz磁界への急性および慢性ばく露は、脳下垂体および副腎皮質刺激ホルモン産生細胞の形態に影響する可能性がある、と結論している。

研究の種別:

研究助成

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