研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話およびコードレス電話の使用と神経膠腫患者の生存] epidem.

Use of mobile and cordless phones and survival of patients with glioma

掲載誌: Neuroepidemiology 2013; 40 (2): 101-108

この研究は、神経膠腫診断後の患者の生存とワイヤレス電話(携帯電話およびコードレス電話)の使用の関連を調べた。著者のHardellらの研究グループが以前に実施した症例対照研究をベースに、1997年から2003年の間に悪性脳腫瘍診断されたすべての症例(n = 1251)を今回の分析に含め、診断日から死亡日まで、または2012年5月30日まで追跡を行った。その結果、神経膠腫の場合、ワイヤレス電話(携帯電話およびコードレス電話)使用者群ではハザード比(HR)= 1.1(95 %信頼区間(CI)= 0.9-1.2)、使用期間 > 10年の使用者群ではHR = 1.2(95 %CI = 1.002- 1.5、pトレンド= 0.02)であった;星状細胞腫のグレードI-II(低グレード)の場合、ワイヤレス電話使用者群ではHR = 0.5(95 %CI = 0.3-0.9)であり、星状細胞腫グレードIV(神経膠芽腫)の場合、ワイヤレス電話使用者群ではHR = 1.1(95 %CI = 0.95-1.4)で、使用期間 > 10年の使用者群ではHR = 1.3(95 %CI = 1.03-1.7)であった;累積使用時間の三分位の最高群(> 426時間)では、神経膠芽腫の場合、HR = 1.2(95 %CI = 0.95-1.5)であった;分析結果は携帯電話コードレス電話で同様であった;総括すると、神経膠腫症例では、ワイヤレス電話の長期的で累積使用時間が多い使用者で生存率の低下が見られ、星状細胞腫グレードIVでも同様の生存率低下が見られたが、星状細胞腫グレードI-IIでは生存率上昇が観察された、と報告している。

研究の目的(著者による)

携帯電話及びコードレス電話の使用に関連した神経膠腫診断後の患者の生存率を、スウェーデンにおける症例対照研究で調査した。本研究は、Hardell他(2006)Hardell他(2011) 及び Hardell他(2010)症例対照研究の調査人口に基づく。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非ばく露:携帯電話またはコードレス電話使用なし、または1年未満の使用
集団 2 携帯電話+コードレス電話使用 > 1-5年
集団 3 携帯電話+コードレス電話使用 > 5-10年
集団 4 携帯電話+コードレス電話使用 > 10年
集団 5 携帯電話(アナログ及びデジタル)使用 > 1-5年
集団 6 携帯電話(アナログ及びデジタル)使用 > 5-10年
集団 7 携帯電話(アナログ及びデジタル)使用 > 10年
集団 8 コードレス電話使用 > 1-5年
集団 9 コードレス電話使用 > 5-10年
集団 10 コードレス電話使用 > 10年
集団 11 携帯電話+コードレス電話、生涯の累積使用:1-1000時間
集団 12 携帯電話+コードレス電話、生涯の累積使用:1001-2000時間
集団 13 携帯電話+コードレス電話、生涯の累積使用: > 2000時間
集団 14 携帯電話、生涯の累積使用:1-1000時間
集団 15 携帯電話、生涯の累積使用:1001-2000時間
集団 16 携帯電話、生涯の累積使用: > 2000時間
集団 17 コードレス電話、生涯の累積使用:1-1000時間
集団 18 コードレス電話、生涯の累積使用:1001-2000時間
集団 19 コードレス電話、生涯の累積使用: > 2000時間
集団 20 携帯電話+コードレス電話使用:第1三分位値
集団 21 携帯電話+コードレス電話使用:第2三分位値
集団 22 携帯電話+コードレス電話使用:第3三分位値
集団 23 携帯電話使用:第1三分位値
集団 24 携帯電話使用:第2三分位値
集団 25 携帯電話使用:第3三分位値
集団 26 コードレス電話使用:第1三分位値
集団 27 コードレス電話使用:第2三分位値
集団 28 コードレス電話使用:第3三分位値

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 1,251
適格者 1,233
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

全体として、神経膠腫の症例の生存率携帯電話及びコードレス電話使用との関連について、統計的に有意でない、僅かなリスク上昇が認められた(HR 1.1、CI 0.9-1.2)。潜伏期間が > 10年の最も高いばく露群における神経膠腫についてのハザード比は1.2(CI 1.002-1.5、p trend = 0.02)であった。グレードI-II(低グレード)の星状細胞腫については、統計的に低いリスクが認められ(HR 0.5、CI 0.3-0.9)、グレードIVの星状細胞腫神経膠芽腫)についてはハザード比は1.1(CI 0.95-1.4)で、潜伏期間が > 10年では1.3(CI 1.03-1.7)であった。累積使用時間が最も高い三分位値(1426時間)では、神経膠芽腫について統計的に有意ではないリスク上昇が認められた(HR 1.2、CI 0.95-1.5)。結果は携帯電話コードレス電話で同様であった。

著者らは、ワイヤレス電話の使用が長期、及び累積使用が長い神経膠腫の症例に生存率の低下が認められた、と結論付けた。グレードIVの星状細胞腫については生存率の低下、グレードI-IIの星状細胞腫については生存率の上昇が認められたが、これはこの患者グループにおける早期診断及び手術につながる、ばく露に関連する腫瘍症状によるものかも知れない。

研究助成

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