研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[電磁界への夜間のばく露と小児白血病:拡張プール分析] epidem.

Nighttime exposure to electromagnetic fields and childhood leukemia: an extended pooled analysis

掲載誌: Am J Epidemiol 2007; 166 (3): 263-269

夜間の寝室における極低周波電磁界(ELF EMF)を測定すれば、それまで用いられてきた24時間/48時間測定値より、いっそう正確にばく露を反映し、生物学的にいっそう大きな妥当性を持つ数値を得ることになるかもしれないと、仮説が立てられてきた。そこで、我々著者は、夜間の住居におけるばく露を調べるために、 ELF-EMF ばく露小児白血病の危険性に関する症例対照諸研究の上に統合分析を展開した。この分析には、4つの国(カナダ、ドイツ、イギリス、アメリカ)のデータが含まれており、それは白血病診断された1842人の子どもたちと、3099人の対照群で構成されていた(診断の日時は1988年から1996年にわたる)。夜間の ELF-EMF ばく露カテゴリーの 0.1-<0.2 μT 、 0.2-<0.4 μT 、≧0.4 μT 各々が、<0.1 μT と比較されたオッズ比はそれぞれ、1.11 (95% 信頼区間(CI): 0.91, 1 .36)、 1.37 (95% Cl: 0.99, 1.90)、1.93 (95% Cl: 1.11, 3.35) であった。これらの見積もり数値が、24時間/48時間測定値の幾何平均から割り出した数値(オッズ比はそれぞれ、1.09, 1.20, 1.98)と同様であったという事実は、夜間要素がそれ単独で、観察されているパターンの説明にならないことを示している。これらの結果は、夜間測定値がより適切であるという仮説を補佐するものではない。従って、観察されている所の ELF EMF小児白血病 の関連性は、今なお、もっともな説明を欠いている。

研究の目的(著者による)

超低周波電磁界への夜間のばく露と、24/48時間のばく露に関連した小児白血病リスクを評価した。先行するプール分析 Ahlbom他、2000)では、24/48時間の磁界測定値または過去の電力負荷情報に基づいてリスクを計算した。本プール分析では、24時間または48時間測定のデータがある以下の研究を含めた:
カナダ(McBride他、1999)、ドイツ(Michaelis他、1997Michaelis他、1998、及び Schüz他、2001)、英国(UK小児がん研究グループ、1999)、ならびに米国(Linet他、1997)。

詳細情報

夜間の測定値は24/48時間測定値よりも超低周波電磁界ばく露の尺度として適切であるかという仮説を検証した。ばく露は、幾何平均または夜間の測定の中央値のいずれかで評価した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 夜間の磁界ばく露:< 0.1 µT
集団 2 夜間の磁界ばく露:0.1 - < 0.2 µT
集団 3 夜間の磁界ばく露:0.2 - < 0.4 µT
集団 4 夜間の磁界ばく露:≥ 0.4 µT

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 1,842
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

夜間の磁界ばく露が0.4µT以上の子どもに、小児白血病の統計的に有意なリスク上昇が認められた。夜間ばく露の分析結果は、先行するプール分析の結果とほとんど変わらなかった。
この結果は、夜間の測定値は24/48時間測定値よりも超低周波電磁界ばく露の尺度として適切である、という仮説を維持していない。著者らは、超低周波電磁界小児白血病との間に観察された関連は依然として説明を欠いている、と結論付けた。

研究助成

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